ハムフライ1つくださいな
羽後本荘駅からほど近く、ご当地グルメとして有名な「本荘ハムフライ」を扱うお肉屋さんがある。牛と豚と鳥が描かれた印象的な看板のお店が滝川精肉店だ。店の正面には「本荘ハムフライ」と赤文字で書かれた黄色いのぼりがたなびく。中に入ると、まさに昔ながらのお肉屋さんといった空間が広がる。ショウケースにはメンチカツ、カボチャコロッケ、シューマイ、トンカツ…などなど様々な揚げ物が並んでいてどれもおいしそう。目移りしてしまうが、今回はお目当てのハムフライをいただく。
すぐに食べられるよう紙に包まれたハムフライを受け取る。では早速ひとくち。「あれ?フライにはソースじゃないの?」と思ったそこのあなた。ご安心を。ハムフライに使用されている厚切りのハムにはしっかりと味がついていて、ソースがなくても十分おいしく頂ける。ハムを包む衣は、サクッと薄付きで食べやすい。パクパクと食べすすめ、あっという間にハムフライは無くなってしまった。本当はもう1つ食べたかったところだが今回はガマン。
さて、「本荘ハムフライ」はご当地グルメとして一躍有名になったが、なぜここまで有名になったのだろうか。奥様の滝川まゆみさんに詳しく聞いてみた。
ハムフライが親しまれ始めたのは昭和30年代。由利本荘市にプリマハムの工場があったことがきっかけで広まった。ハムフライは1つ10円ほどで販売され、下校中である小学生のおやつとして親しまれていた。子どもたちがお小遣いをもってお肉屋さんに立ち寄る姿が目に浮かぶ。そんな昭和の時代に愛されたハムフライだったが、年月が過ぎ姿を消してしまった。しかし、ハムフライを由利本荘のB級グルメとして復活させ、地元を盛り上げようと立ち上がった人たちがいた。それが「本荘ハムフライ・ハム民の会」だ。
ハム民の会は県内外様々なイベントに出店しており、各地で由利本荘のPRに努めている。ご当地グルメで有名なB1グランプリにも連続で出場しており、その名を全国的なものにした。
ハム民の会公認の本庄ハムフライの証ののぼり
本庄ハムフライとは
「本荘ハムフライ」を語るには条件があるようだ。まずは県産の豚肉を使っていること。そして、揚げる際の油にラードを入れていること。ラードは豚との相性も良く、ラードで揚げると衣がサクサクになると聞く。なるほど、おいしさの秘密はここにあったのか。
有名になった今でもおいしさの追求は続いている。子どもたちに愛されていた味を大人からも愛されるよう味になるように、ハムの厚みを増やすなど改良をしているようだ。時代を超えて、年代を超えて愛されるハムフライを食べて、本荘の文化を感じてほしい。
最後にハムフライを包む紙には「ハム」の文字を縦書きにして顔のようにした「公」マークが印刷されている。ハムフライのおいしさにほっこりしている表情にも見える。あなたも本荘ハムフライを食べたならこの表情になること間違いなしだろう。
文/秋田大学 高橋
Information
滝川精肉店
〒015-0075 秋田県由利本荘市花畑町4丁目45
☎0184-22-1706
■定休日/日・祝日
■営業時間/8:00~18:30