ひと

デリカテッセン&カフェテリア 紅玉

見つけた秋人 高橋 基さん

女性に大人気!

 道の駅十文字から数分、十文字ICの近くにあるのがデリカテッセン&カフェテリア紅玉だ。有限会社たかえんが経営していて、平成20年に開店した。

 さっそくお店に入ると左右に扉があらわれる。その左側がお惣菜店となっている。落ち着いた雰囲気でお洒落な空間の中、私たちを出迎えてくれたのは、素敵な笑顔が印象的な奥さんの高橋紅さんと、十数種類のお惣菜が並べられたショーケースだ。人気メニューのラザニアをはじめ、色とりどりの総菜たちが「私を食べて」と訴えかけてきているようだ。これらのメニューは料理好きな紅さんが考案し、地元で採れた農産物を使用して作っている。カフェテリアを利用する際は4/6/9品コースを選び、その数の総菜をショーケースから選ぶ。どれも素敵なので迷ってしまうが、それも楽しみの一つではないだろうか。

 注文した後階段を上ると、緑に囲まれた広々としたカフェテリアが待っている。心地よい時間が流れる中、いざ実食。どれもこれもとてもおいしく、味が身体に染みわたり、気持ち良いとすら思えた。小さいお皿に盛りつけられた数々の総菜を少しずつ食べられるという点も、女性に人気の理由のひとつといえる。

お客様から注文をうかがう高橋 紅さん
注文は1階で、食事は2階でできる
食事だけでなくオーガニック(有機栽培)のドリンクが楽しめる
1階のショーケースの中にある料理から、自分の好みの料理を4・6・9種と選ぶことができる

ライフスタイルの提案

 取材に対応してくれたのは、5代目社長でご主人の高橋基さん。

 たかえんは基さんの曾々祖母にあたる高橋フヨさんが昭和初めに茶屋を創業したことから始まる。しかし戦争中の食糧統制により一時休業となってしまう。戦争が終わり、平和になると女性がおしゃれへと注目し始めたことから、呉服店をはじめ、次第に洋装品も扱い、ブティック形式の店を6~7店舗経営していた。一方、基さんの叔父は食と健康に興味があり、食事として楽しめて、食べると健康になれるという点を考えた結果、総菜にたどり着き、紅玉が開店した。もともと衣料に携わっていたこともあり、食だけを扱うお店ではなく、食べるお客さんが豊かに過ごせるようなライフスタイルの提案を行うことを、紅玉の役割と考えている。

想い描く食のパレット
彩り豊かで目にも楽しいパレットスタイル

デリカフェスタイルのきっかけ

 紅玉は最初からデリカテッセン(お持ち帰り用の総菜を売る飲食店)であったわけではなく、最初はテイクアウトのみであった。1番くつろげるであろう自宅でゆっくり味わってほしいという思いからだった。お客さんが来ない日もあり、さまざまな打開策を試みるが、どれも決め手とならなかった。しかしお客さんに要望を聞いているうちに、「これだけ場所があるのだから、ここで食べさせてくれたらいいのにね」という言葉をもらった。当初社員からは反対の声が上がったが、東京のデリカフェを見学した結果「あんなのうちでもすぐできる!」と自信に満ちた顔で社員が帰ってきた。最初は4品から、もっと食べたいという要望から、6・9と品数が増え、選べるようになった。紅玉では社員がキッチンとホールどちらも固定せず働き、社長自らも給仕する。そのため社員とお客さんの距離感が近く、親しみやすいため、要望も聞きやすい。お客さんのニーズに答えようとした結果が今の経営形態に結び付いている。

「紅玉」の由来

 紅玉とはリンゴの名前である。そのまま食べるとすっぱいが、火を通すことで甘みが増すため、調理用リンゴ(クッキングアップル)としてお菓子に使われている。調理することで隠されていた甘みを引き出せる紅玉のように、働く人の持ち味が出てくるような職場にしたいという思いがお店の名前に込められている。

 また、たかえんはこれまで女性の生活を豊かにすることに携わってきた。そのため奥さんの紅さんと祖母の玉さんの名前も意味合いとして込めたという。

地元っていいよね!

 紅玉で地元の食材が使われている理由は、あるこだわりからだ。

 主食主菜副菜、朝昼晩3食の日本では当然の食事形式も、外国では全く違う食事形式だったりする。日本国内でも、地域ならではの食材や食べ方があり、それは多種多様に存在する。基さんは私たちに「身土不二」という仏教用語を教えてくれた。「身」(今までの行い)と「土」(身がよりどころにしている環境)は切り離せないという意味をもつ。これが食運動のスローガンとして、自分の体と育ってきた土地は切り離せない、つまり地元の旬の食品や伝統食が身体に良いという意味で広まった。紅玉の根本はこの「身土不二」に詰まっている。

 豊かな土地、自然、地域の風景を一つの瓶に詰めたようなもの。それが総菜として食卓に提供される。地域が詰まった総菜を食べることで「地元っていいよね」という価値観が共有され、結びつき、1つのコミュニティができるのではないか。基さんは語る。

 また地元を大切にしながらも、地元のみに留まらない。農作物の県外出荷や県境を越えた地域間ネットワークつくりも行っている。地元のクッキングアップルや果物の生産者と全国の一流パティシエをマッチングさせることで、地域の魅力を発信できると同時に、地元生産者のやる気向上につながっていて、生き生きとした地域づくりに貢献している。「作ったブドウを使用したケーキを家族と東京まで食べに行ったという生産者の方のお話を聞いてこっちまでうれしくなりましたね。」と語る基さんの笑顔はとても素敵だった。

 農と食を、人と地域を大切にし、地元に根づいている紅玉。ぜひあなたも横手が詰まったおいしい総菜を食べに来てほしい。お昼はカフェテリアでゆっくりと楽しみ、夜の分も買って家族で食卓を囲んで食べる。2度「おいしい」思いをするでしょう。

文/秋田大学 佐々木

2階の飲食スペース(カフェテリア)は見晴らしがよく、ゆったりとした時間を過ごせる

Information

十文字駅より車で5分。十文字ICより車で2分。自然豊かな秋田県横手市十文字町の手作りのお惣菜屋です。1階はデリカテッセン、2階はカフェテリアになっており、田舎の景色を眺めながら、お食事や、ティータイムをゆっくりと過ごせるお店です。都会にはない楽しみを、お届けいたします。

カフェ・デリカテッセン 紅玉
〒019-0509  秋田県横手市十文字町梨木沖野66−1
☎0182-42-5770
■定休日/水曜日
■営業時間/11:00~18:00

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