文化・歴史

角館の紹介

 秋田県の東部、岩手県と面した地にある仙北市は角館町と田沢湖町、西木村が合併し平成17年に発足した。人口は27191人(平成29年7月31日現在)、ほぼ中央の位置に日本で最大の深度を誇る田沢湖を有し、市の東が秋田駒ヶ岳、北に八幡平、南は仙北平野へと続いている。気候は盆地特有のもので明確な四季を持つのが特徴だ。年間の最大最低気温差が40度以上あり、秋田県内で最も時期による気候の差が大きい。特に冬季の降雪量は多く国内有数の豪雪地帯にも数えられている。

 仙北市の一部分である角館はかつて小松山城を中心として栄えた地である。小松山城南側一帯には芦名氏や佐竹氏家臣たちによって造られた武家屋敷の一部が現存しており、「みちのくの小京都」と呼ばれている。この武家屋敷通りは内町と呼ばれ、商人や平民が暮らしていた外町がこれに続く。武家の雰囲気と商人の生きざまをそれぞれ楽しむことができる。

 通りから少し外れると天照大神を祀る角館神明社、別の場所には鳥居のある成就院薬師堂という寺が見られる。どちらも平成28年12月にユネスコ無形文化遺産に登録された「角館祭りのやま行事」と深くかかわる場所だ。

 角館は訪れる時期によってその表情を鮮やかに変えることも特徴の一つだ。春は桜。武家屋敷と共に私たちを手招きするように揺れる淡い色の桜も、川岸で水の青色と対比を成す桜も、どちらも角館の魅力を語るうえで欠かすことができないだろう。夏は新緑。桜が散ると、鳥の声と共に鮮やかな緑が出迎えてくれる。夏が深まれば蝉の声が夏の魅力をさらに引き立ててくれるだろう。秋は紅葉。何本も立ち並ぶ木々の緑が薄まり黄色、赤と色を変えていくさまは時間の移ろいを感じさせる。夕暮れ時にあきあかねが飛び交う景色は歌人でなくともおもわず言葉を紡ぎたくなるほどの感動をあたえるだろう。冬は雪。しんしんと降り積もる雪は周りの音を吸い込み他の季節よりも静かで穏やかな時間を与えてくれる。雪の合間に顔をのぞかせた太陽の光がきらきらと反射し一層景色が明るく見えるさまやよし、夜道を照らす明かりを雪がひっそりと包み込む景色もまたよいものである。

 さて本書の作成にあたって、私たちは特に「人々」にフォーカスを当てて取材をしてきた。角館の町の魅力は実際に町で暮らす人々の想いがあってこそ続いていくものだろう。角館の人々の誇りが本書の記事の中で少しでも伝われば幸いだ。

 自然豊かで、さらに人々の強い志を感じることのできる角館をぜひ訪れてみよう。

         文/秋田大学 野中

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