ひと

アイスドリアン、幼虫チョコ…地域に愛されるお菓子屋さん 小松屋本店

三代目の小松貞吉さん(右)と四代目の小松啓亮さん(左)

老舗を支えるロングセラー

 横手駅から車で数分、赤い看板が目印なのが小松屋本店だ。大きな窓からは、明るい店内の様子がよく見える。創業大正五年、102年も続く老舗の洋菓子店だ。大正時代は和菓子メインであったが、二代目の小松平吉さんの頃から、洋菓子の商品開発も進めた。そして、この二代目の頃に開発されたのが、人気商品であるアイスドリアンだ。この商品は、終戦の頃に二代目が南方に台湾兵として出兵した時に食べたドリアンを想像して開発されたという。しかし、ドリアンには独特な匂いがあるため、ドリアンは入れずにその食感を再現したという。

 実際に食べてみると、その食感に驚いた。通常のアイスクリームとは違い、トロリとした食感がした。また、舌触りはなめらかであり、すぐに口の中で溶けてしまう。コクがあり、シンプルだがとても美味しい。この商品は夏にはとてもよく売れており、一日に1500本から2000本も売れているという。小松屋が100年続いているのはこのアイスドリアンのおかげでもあるという。

 特に地元の人々から愛されている商品で、少しでも味を変えるとお客さんから気づかれてしまい、前の味に直してほしいと要望されるという。今はミルク味とあずき味の2種類を販売している。

類を見ない、この味わいと食感。ぜひ味わってほしい逸品です。

地元の恵みをそのままに カップへ

 店内に入ると右奥に、20席ほどの喫茶スペースがある。このスペースでは、店内で買ったお菓子を食べることもできる。メニューを手にとって見てみると、ドリンク・パフェ・クレープなどのたくさんのメニューがあり、どれを頼もうか迷ってしまう。

 四代目の小松啓亮さんは、このスペースではコーヒー一杯で1・2時間居られるような居心地の良いお店づくりをしていきたいと笑顔で話してくれた。そのため、喫茶スペースも徐々に改装していく予定だという。

 この喫茶スペースで、私たちも新商品である「平鹿林檎と濃厚ミルクのソフトなアイス」をいただいた。アイスのパッケージには大きな林檎の写真があり、見ているだけで食欲をそそられる。ふたを開けてみると、アイスクリームの中に鮮やかな林檎の果肉がごろごろと入っている。口に含むと、シャキシャキとした食感で、口の中に甘酸っぱさが広がる。ソフトクリームから作られたアイスクリームは、とても濃厚でほどよい甘さがあり、甘酸っぱい林檎と相性抜群だ。林檎の加工品が苦手な人でも美味しく食べられる商品になっている。

 この商品を食べた瞬間、小松屋の新たな人気商品になるだろうと確信した。

平鹿林檎と濃厚ミルクのソフトなアイス

共鳴し合う親子の心。

今回取材に応じてくれたのは、三代目の小松貞吉さんと、四代目の小松啓亮さん。

 三代目の貞吉さんは、お菓子業界全体が低く見られていることを改善しようと試みた。自社だけではなく、全体のレベルを上げたかったそうだ。しかし、最初は自分達の技術を他の人にわたすということで、反対された。しかし、その反対にも臆さずに全体のレベルを上げることに尽力した。地域の発展に尽くしたいという思いがあった。

 四代目の啓亮さんは、地域を残すためには自社の製品をおろそかにしてはいけないと話した。地域を残すためには、他の誰かに任せるのではなく、自分たちで頑張ることが大切だと話していた。また、お菓子を売ることは手段であり、来た人に楽しんでもらうことが大切と話してくれた。

きもカワ? リアル幼虫チョコ

 地域を盛り上げる役割を果たしてくれているのが「幼虫チョコ」という商品だ。

 横手市で開催されていた昆虫展というイベントがあり、そこではカブトムシを育てて子ども達に配布していた。しかし、100人や200人に配ることは難しいということで、来場してくれたお客さんに配布するお菓子をつくってもらえないか頼まれた。こうしてできたのが「幼虫チョコ」だ。最初はこのイベントだけで終わる予定だったが、いろいろな所から反響があり、商品化に至った。県外からもこの商品を求めてくるお客さんが数多くいるという。

 今では幼虫チョコレートだけでなく、はちの巣ケーキやいもむしのお菓子、はちのこのキャラメルなど面白い商品が続々と開発されている。小松屋は初代が新しいもの好きで特許を取得することもあった。その「新しいことに挑戦する」という精神は今も受け継がれている。

 小松屋の店内に入ると、見ているだけでわくわくする商品が数多くあり、「新しいことに挑戦する」精神が見て取れる。ぜひ、横手市を訪れた際には小松屋に立ち寄ってほしい。

文/秋田大学 武田

Information

横手駅から徒歩8分。車で3分。横手ICより車で5分。
洋菓子・和菓子・ソフトクリームそして…幼虫?!が楽しめて、店内に喫茶スペースもあり、店内の商品をいただきながら、ゆっくり休憩もできる。アイスドリアンは地域の人に愛され、銭湯などにも置いてあるらしい。

小松屋本店

〒013-0024 秋田県横手市田中町9−17
☎0182-32-0369
■定休日/火曜日
■営業時間/9:00~18:00

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