
横手のシンボルの一つとなっているのが、「横手の雪まつり(かまくら)」である。かまくらは毎年2月15・16日の夜に行われる小正月の伝統行事で、みちのくの冬の風物詩として全国的に知られており、市指定無形民俗文化財に指定されている。
横手のかまくらは、約450年の歴史があるといわれている。藩政のころ、武家の住んでいる内町では、旧暦1月14日の夜、四角い雪の壁を作り、その中に門松やしめ縄などを入れ、お神酒や餅を備えてから燃やし、災難を除き子どもの無事成長を祈った左義長のかまくらが行われた。一方、商人の住んでいる外町では、旧暦1月15日の夜、町内の井戸の側に雪穴を作り、水神様(おしずの神さん)を祀り、いい水に恵まれるようにと祈りを込めた。また、当時の子供たちの間では、積もった雪に穴をあけて、その中に入って遊ぶ雪遊びがあった。これらの風習が長い年月をかけて融合し、現在のような「かまくら」になったといわれている。

高さ約3mもの雪のやしろ「かまくら」が市内全域に約100基作られ、中では子供たちが「はいってたんせ(かまくらに入ってください)」、「おがんでたんせ(水神様をおがんでください)」と言いながら、あまえこ(甘酒)やお餅を振る舞い、寒い中訪れた人々を温かい雰囲気で包み込んでくれる。また、横手南小学校校庭と蛇の崎川原を会場に、毎年約2000個の「ミニかまくら」が地元の人々や子供たちによって作られ、夜は内部にろうそくが灯される。一つ一つにろうそくが灯されると、会場一帯が幻想的な空間に包まれる。
横手がつくりだす冬の風物詩に、ぜひ足を運んでいただきたい。雪と灯、そして人の温かさに、あなたの心もほっと温まるだろう。
文/秋田大学 佐々木
Information

常にマイナス10℃ほどに保たれたかまくら室では、横手の雪を使って作った本物の「かまくら」を年間を通して体験できる。
※8月中旬~9月中旬のうち1週間程度と2月中旬~下旬のうち1週間程度かまくらのメンテナンスの為お休み。
横手市ふれあいセンターかまくら館
〒013-0023 秋田県横手市中央町8−12
☎0182-33-7111
■営業時間/9:00~17:00